ボールカップリング
- ボールカップリングはユニバーサルジョイント的要素とスプラインの機能を併せ持つ回転伝達要素です。
- 内ハブ、外ハブ、球の3要素からなるボールカップリングは、その機能構造について特許取得しています。
- 大きさの制限が無い為、マイクロサイズから巨大なカップリングまで可能性が拡がっています。
特長
- 外形の大きさに比べて伝達トルク、特に破損トルクが大きいので装置の小型化が可能。
(偏角もトルクも大きい使用条件下でも破損ではなく摩耗進行による寿命を考慮する) - ハブ・球の材質は基本的な制限が無いため、水中・油中・高温・低温・真空中等に対応することが出来ます。
- 実使用で必要な仕様に合う偏角・伸縮(スプライン)量のカップリングを設計することが出来ます。
- マイクロロボットから自動機、包装機、産業用大形機械等これからの展開が期待されます。
- 球圧入タイプでバックラッシュゼロを実現。高速・高剛性サーボ対応も検討可能です。
- 組み込む球のサイズと数も用途に合わせて設計します。(実績:最高12球実装)
製品紹介
ボールカップリング
●ユニバーサルジョイントのように許容エンドプレイ機能付カップリング
●外ハブ、内ハブ、球(複数)の3要素で構成された簡単な構造で低コストを実現
●非常時の衝撃トルクにも耐えられる頑丈な構造
●左右の穴径がφ6~φ12の範囲で、組み合わせを含め自由に選べる
●強粘特殊グリースを使用
●ポンプ、医療器、電動椅子、農機、運搬、建機、ロボット等に最適
●ユニバーサルジョイントのように許容エンドプレイ機能付カップリング
●外ハブ、内ハブ(ステンレス)、球の三要素の簡単な構造
●小型で強力、メカニズムの小型化に最適
●強粘特殊グリースを使用
●MBS 15~38のサイズは左右異径組合せが可能
●ユニバーサルジョイントのように許容エンドプレイ機能付カップリング
●外ハブ、内ハブ(ステンレス)、球の三要素の簡単な構造
●小型で強力、メカニズムの小型化に最適
●強粘特殊グリースを使用
●MBD 15~32のサイズは左右異径組合せが可能
●大きな衝撃トルク、振動回転にも破損しない『止まらない』安心のサーボ対応カップリング
●実在するミスアライメント(偏心、偏角、伸縮)を最小の損失トルクで許容します
●機械的精度不充分なサーボ機構でも、快適な動作性能を得ることが出来ます
●小さくて、大トルク、高剛性で装置の小形化が可能です
●大きな衝撃トルク、振動回転にも破損しない『止まらない』安心のサーボ対応カップリング
●実在するミスアライメント(偏心、偏角、伸縮)を最小の損失トルクで許容します
●機械的精度不充分なサーボ機構でも、快適な動作性能を得ることが出来ます
●小さくて、大トルク、高剛性で装置の小形化が可能です
●ユニバーサルジョイントのように許容エンドプレイ機能付カップリング
●外ハブ、内ハブ(アルミ)、球の三要素の簡単な構造
●強粘特殊グリースを使用
●小型で強力、メカニズムの小型化に最適
●オプションでNBS50以上にはジャバラが取付可能です
●ユニバーサルジョイントのように許容エンドプレイ機能付カップリング
●外ハブ、内ハブ(ステンレス)、球の三要素の簡単な構造
●強粘特殊グリースを使用
●小型で強力、メカニズムの小型化に最適
●ユニバーサルジョイントのように許容エンドプレイ機能付カップリング
●外ハブ、内ハブ(ステンレス)、球の三要素の簡単な構造
●強粘特殊グリースを使用
●小型で強力、メカニズムの小型化に最適
ディスクカップリング
- バックラッシュゼロ
- スムーズな回転伝達
- あらゆる用途に合う豊富なバリエーション
ディスク型カップリングはディスク(プレート)の変形で偏心や偏角を吸収するフレキシブルカップリングの一種です。
構成はシングルディスクとダブルディスクがあります。
システムの予期せぬ損傷を防ぐには状況に合わせて正しく選ぶ必要があります。(右図参照)
ディスク材質の特性
ポリイミド
耐熱性で化学的にも非常に安定したスーパーエンジニアリン
グプラスチックです。高い引張り強度と弾性率があり、突出した耐屈曲性はカップリングのディスクとして、金属では不可能なフレキシビリティを実現します。
カーボンFRP
炭素繊維からなる織物を樹脂含浸により固めたもので、市販
される材料のうち最も高い比強度・比弾性率を持ち、クリープが小さく疲労強度もアルミ合金の3~7倍と高いなど、機械的性質が非常に優れています。カップリングのディスクとしては、高いねじり剛性・伝達トルクを持ちつつ偏心・偏角によるたわみにも疲労破壊しないバランスの良い性格です。
ステンレス板ばね
しています。引張り強度は3種中もっとも高いため、カップリングのディスクとしては高剛性、高トルクタイプです。一方で軸心の不一致、特に偏心に対する許容量は最も小さく、組付けにおいては注意が必要です。
特性バランス比較図
耐久試験結果
製品紹介
ディスクカップリング
●ミスアライメントに強い万能タイプ
●2種類のディスク材質であらゆる用途に対応
●ポリイミド-抜群のフレキシビリティで心ずれの状態でも反力が小さく、位相やトルクの変動もない
●カーボンFRP-伝達トルクとねじり剛性が非常に高いレベルでバランスの良い万能タイプ
●ミスアライメントに強い万能タイプ
●3種類のディスク材質であらゆる用途に対応
●ポリイミド-抜群のフレキシビリティで心ずれの状態でも反力が小さく、位相やトルクの変動もない
●カーボンFRP-伝達トルクとねじり剛性が非常に高いレベルでバランスの良い万能タイプ
●ステンレス板ばね(SUS)-フレキシビリティは劣りますが、伝達トルク、ねじり剛性が高く応答性の高いサーボ系等に最適
●小さなミスアライメントに強い万能タイプ
●2種類のディスク材質であらゆる用途に対応
●ポリイミド-抜群のフレキシビリティで心ずれの状態でも反力が小さく、位相やトルクの変動もない
●カーボンFRP-伝達トルクとねじり剛性が非常に高いレベルでバランスの良い万能タイプ
●小さなミスアライメントに強い万能タイプ
●3種類のディスク材質であらゆる用途に対応
●ポリイミド-抜群のフレキシビリティで心ずれの状態でも反力が小さく、位相やトルクの変動もない
●カーボンFRP-伝達トルクとねじり剛性が非常に高いレベルでバランスの良い万能タイプ
●ステンレス板ばね(SUS)-フレキシビリティは劣りますが、伝達トルク、ねじり剛性が高く応答性の高いサーボ系等に最適
●小さくまとめたい、スペースが足りないに対応
●軸方向の小形化に役立ち、従来品と比べ半分以下の省スペースに実装可能
●小さなミスアライメントに強い万能タイプ
●ポリイミドディスクで、抜群のフレキシビリティで心ずれの状態でも反力が小さく、位相やトルクの変動も無い
●小さくまとめたい、スペースが足りないに対応
●軸方向の小形化に役立ち、従来品と比べ半分以下の省スペースに実装可能
●小さなミスアライメントに強い万能タイプ
●ポリイミドディスクで、抜群のフレキシビリティで心ずれの状態でも反力が小さく、位相やトルクの変動も無い
●ディスクをVカラーで圧入組立し、更にハブに挿入することで強力合体
●クランプボルトを大きくし、軸結合トルクをより強力に
●ミスアライメント(偏心、偏角、伸縮、振動等)が小さく押さえられない場合は高耐久カーボンのディスクで対応
●ディスクをVカラーで圧入組立し、更にハブに挿入することで強力合体
●クランプボルトを大きくし、軸結合トルクをより強力に
●ミスアライメント(偏心、偏角、伸縮、振動等)が小さく押さえられない場合は高耐久カーボンのディスクで対応
●φ6~φ16の大幅、異径サイズ対応
●ハブ、中間に高力アルミダイカスト採用、ニッケルメッキ仕上げ
●ディスクはカーボンFRP製、厚さ(0.4、0.6、0.8)の3種から選択可能
●金属ディスク形に比べて偏心、偏角、振動等の許容性、耐久性大
●Φ6〜Φ16の大幅、異径サイズ対応
●ハブ、中間に高力アルミダイカスト採用、ニッケルメッキ仕上げ
●ディスクはカーボンFRP製、厚さ(0.4、0.6、0.8)の3種から選択可能
●金属ディスク形に比べて偏心、偏角、振動等の許容性、耐久性大
●ディスク材質はフレキシビリティ重視のポリイミドとトルク重視のカーボンFRP
●テーパーロックタイプはキー溝等、軸への加工が不要
●テーパーロックタイプは位置合わせが容易
●セットビスタイプとテーパーロックタイプの組合せも可能
●ディスク材質はフレキシビリティ重視のポリイミドとトルク重視のカーボンFRP
●テーパーロックタイプはキー溝等、軸への加工が不要
●テーパーロックタイプは位置合わせが容易
●セットビスタイプとテーパーロックタイプの組合せも可能
●クランプタイプでφ6~φ14の異径サイズ対応
●ハブ、中間の材質はSUS304焼結で常用トルク大
●金属ディスク形に比べて偏心、偏角、振動等の許容性大
●ポリイミドディスクタイプは特にミスアライメントに強く、耐熱、高絶縁
●クランプタイプでφ4~φ13の異径サイズ対応
●ハブ、中間の材質は経済的なFe系焼結
●金属ディスク形に比べて偏心、偏角、振動等の許容性大
●ポリイミドディスクタイプは特にミスアライメントに強く、耐熱、高絶縁
プラスチックカップリング
特長
- プラスチックカップリングを世界で初めて製造したのが弊社です。
- 現在プラスチックカップリングの製造販売実績があるのは世界でただ一社、弊社のみとなります。
耐久性
下記のような耐久試験の結果から、負荷トルク/偏心/偏角それぞれのモードに対する耐久特性をまとめたものが本グラフです。
複合条件においては過去の耐久試験結果のデータベースに照らし合わせることで耐久性の予測が可能ですのでお問い合わせください。
(注)トルク、偏心、偏角はカタログ値を100とした場合のパーセント表示
製品紹介
プラスチックカップリング
●エンジニアリングプラスチックの耐疲労性を生かしたミニチュアサイズのカップリング
●アルミ合金などの金属製よりも耐曲げ疲労性に優れ、軽くスムーズな回転伝達を実現
●ロータリースイッチやエンコーダ、小型モータなどの軽負荷伝達に
●電気的絶縁が必要な回転伝達部に
●UJに比べスリット部が長くなっており、単体使用時の許容心ずれ量が向上
●単体で曲りと心ずれの両方を軽く吸収
●スムーズな回転伝達をコンパクトに実現
●電気的絶縁が必要な回転伝達部に
オルダムカップリング
- 小型で大トルクに対応
- 組付け時に分解可能
スライダの摩耗
オルダムカップリングは、ハブの突起とスライダの溝とが滑ることで、主に偏心を吸収します。小径の割に大きなトルクを負荷できるのが特徴ですが、大きなトルクと偏心とが同時に負荷されると、スライダ溝が摩耗してバックラッシュの増大を引き起こすことがあります。金属スライダでは特にこの傾向が強く、摩耗によるバックラッシュ増大を嫌う場合は、偏心を十分に小さく抑える必要があります。
スライダの破損
オルダムカップリングのスライダには、駆動側・従動側ハブの突起に挟まれた部分で圧縮応力がかかり、外周方向に逃げようとする力がかかります。カップリングに過大な負荷トルクがかかると、スライダは弾性限界を超えて変形し、引きちぎられるように破断します。スライダがそのように破断したときは、過大トルクが負荷されたのだと判断できます。
製品紹介
オルダムカップリング
●小型で強力、耐久性に優れたカップリング
●理想の外形サイズが選べる豊富な品揃え
●SUS焼結製ハブとカーボンFRPスライダの組み合わせ
●小型で強力、耐久性に優れたカップリング
●理想の外形サイズが選べる豊富な品揃え
●SUS焼結製ハブとカーボンFRPスライダの組み合わせ
●アルミニウム製ハブとポリアセタール製スライダとの組み合わせで軸径φ38まで対応
●高精度スライダ溝は軽圧入でバックラッシュゼロ、サーボ系にも対応
●スライダ材質は耐薬品グレード、耐熱グレード等でも制作可能
●アルミニウム製ハブとポリアセタール製スライダとの組み合わせで軸径φ35まで対応
●高精度スライダ溝は軽圧入でバックラッシュゼロ、サーボ系にも対応
●スライダ材質は耐薬品グレード、耐熱グレード等でも制作可能
●最強のオルダム
●ステンレス製ハブとアルミ青銅製スライダの組み合わせ:オールメタルのオルダムカップリング
●スライダ部の最小スキマに超高粘度グリースを充填し、焼付防止とバックラッシュゼロ対策の両立
●最強のオルダム
●ステンレス製ハブとアルミ青銅製スライダの組み合わせ:オールメタルのオルダムカップリング
●スライダ部の最小スキマに超高粘度グリースを充填し、焼付防止とバックラッシュゼロ対策の両立
●許容トルクの4倍の衝撃トルクでも破損しません。
クッションカップリング
クッション式カップリングは、ハブの突起に囲まれた円筒型のクッションが変形することで偏心・偏角や回転振動を吸収します。6個のクッションは完全に独立しているので、それぞれが最も効果的に変形してミスアライメントや回転振動への対応を容易にしています。
クッション材質には4種類あり、硬さの違いがねじり特性や偏心特性の違いとして現れます。
選択上の注意
-
ポンプ等のトルク振動を有する回転負荷には柔らかい(ねじりばね定数の小さい)クッションを選んでください。
常用トルクの大きさを優先し、固いクッションを選択するとハブ突起の付根が金属疲労で先に破損する可能性があります。
- 慣性質量の大きいサーボ、カム駆動負荷等にも、上記と同様の理由で柔らかいクッションを選択し、且つトルク余裕も大きくとってください。
- 最高回転数で常用する場合は常用トルクを1/2 としてください。
- 偏心、偏角、伸縮等が大きい場合にはクッション接面にグリースを塗布してください。
周囲温度と常用トルクの補正
周囲温度で常用のトルクの補正をしてください(下表参照)
- クッションUB,UY,URの使用可能温度は60℃までです。
- クッションNKの使用可能温度は80℃までです。
製品紹介
クッションカップリング
●バックラッシュゼロ
●振動&音の吸収
●クッションはパイプ形状で柔軟性大、長寿命
●クッションの材質で、ねじり剛性の大・小選択可能
●ハブ材質がアルミダイカストで、慣性モーメントが小さい
●バックラッシュゼロ
●振動&音の吸収
●クッションはパイプ形状で柔軟性大、長寿命
●クッション性の材質で、ねじり剛性の大・小選択可能
●ハブ材質がアルミダイカストで、慣性モーメントが小さい
リジットカップリング
特長
- ワンチャックで左右穴通しバイト仕上げで同心高精度
製品紹介
リジットカップリング
リジットカップリング使用上の注意
弊社のリジッドカップリングは、精密旋盤でワンチャック・バイト加工仕上げ(同穴径、異穴径とも)にて製作し、クランピング形は熱処理で内部歪応力を除去してから切削、スリ割り加工を行い、同心精度を保持しています。それでも高精度で軸振れを極力抑えるためには組立てに際しても充分な注意が必要です。
組立状態の偏心、偏角の検査方法(図1参照)
組立られたユニットの軸(1)をVブロックに乗せ、ゆっくり回して軸(2)の外周振れをテストインジケータで測定します。
例えばA点の振れが0.04あれば偏心は0.02です。
次にB点(A点よりLだけ離れた位置)の外周振れ値が0.16あったとし、Lが100だとすると偏角αは
(厳密にはB点の最大振れの回転位置におけるA点との差で計測しなければなりません)
組立上の注意(セットスクリュータイプ)
(図2)参照
- 嵌め合い部は洗浄しゴミを除去してください。
- 軸またはカップリングを軽く回しながら、斜め左右の2個のセットスクリューを交互、均等に締め込んで軸をC・底面に安定させてください。
- 軸(1)と軸(2)は偏角のない一直線の状態を保ちながら組込んでください。
(図3)のように偏角のある状態のまま締付けると完全には修正できません。 - 軸の材質が柔らかいプラスチックやアルミ合金の場合にセットスクリューを強く締め付けすぎないことも重要です。軸が反って偏角発生の原因になります。
組立上の注意(クランピングタイプ)
(図4)参照
- 嵌め合い部は洗浄しゴミを除去してください。
- 軸またはカップリングを軽く回しながらクランプボルトを少しずつ締め付けてください。
カップリングの穴径が軸の外周と一致し心ずれeが0になります。これがクランピングタイプの特長です。 - 軸(1)と軸(2)は偏角のない一直線の状態を保ちながら組込んでください。
カップリングの選択方法
回転軸を結合するカップリングの使用先は、まさに千差万別です。私達メーカーもその使われ方に思いを巡らせながら、あれこれ対応するカップリングを製作しています。
昔は歯車やベルトが回転伝達の主役でしたが、現在ではカップリングの利用が益々高まり、方式も種類も増加しています。
一方でカップリングの破損は装置の故障となり、大きな損害を発生させる場合が少なくありません。装置の回転系には想定外の過大負荷がかかることがあるので、慎重に、しかも安全率を高めて選択する必要があります。
伝えるべきエネルギー(トルク・回転速さ・回転体慣性等)の大きさ、逆転頻度とその瞬間の回転角加速度、軸間のミスアライメント(図1ご参照)の種類と大きさ、スペース、環境(水・油・光線・電磁波・塵埃・周囲温度・真空中など)の状況、必要とする回転寿命・・・それらの中から必要な項目を満たしたうえで適正なコストの商品を選択していただかなければなりません。
実際に使用して、短時間で破損した場合は、トルクかあるいはミスアライメントの過大が原因です。最近は特にサーボモータ関係で時々トラブルが発生しています。その第一の問題点は、サーボモータの瞬間最大(3倍)トルク以上のトルクがカップリングに加わるはずがないと錯覚されている場合です。
(図2)はA点⇔B点間のプログラム制御の例でサーボモータの駆動電流の波形とサーボゲイン小と大の比較で示した図です。
起動・停止のA点・B点ではモーターの瞬間最大電流が流れますが、A→Bと低速で動いている間でもローターが回転振動をしています。
サーボモータのローターと軸はかなりの慣性質量を持っているので、A点・B点で大きな回転ハンマーとなってカップリングに衝撃トルクを与えます。更に低速移動中でもインパクトドライバーとしてカップリングを痛め続けます。
(図3ご参照)
サーボモータが大きくサーボゲインが高くて常にローターが激しく回転振動している状況では、この振動による衝撃トルクがサーボモータの瞬間最大トルクを大きく超え、しかも数サイクルから数十サイクルの振動衝撃となります。この衝撃トルクを知る為には超高速カメラで瞬間最大角加速度を測定し慣性モーメントを乗ずればよい訳です。
経験的に考察した場合ですが、高速で激しい動きのサーボ系で24時間働き続ける例では、サーボモータの瞬間最大トルクの5~8倍がカップリング仕様の許容トルク以下であれば数年の寿命が期待できます。但し、このような機械では当然ミスアライメントは0に近い位に高精度で組み立てられていなければなりません。
補足説明
カップリングが破損に達する原因について
理解を助ける例として、エアシリンダーの場合について説明します。エアシリンダーの作動力はシリンダーの面積×空気圧で示され、それ以上の力は出しません。しかし、破損しない為にストッパー部にゴムクッションを付けたり、エアー絞り端末構造にして衝撃力にある程度耐えるように作られています。更に使用に際しては減圧弁、スピコン、ショックアブソーバーなどを付けて結合部の破損やゆるみを防がなければなりません。この破損する力は空圧的力ではなく、質量を持った運動体が急激に停止させられる時の力(F=Mα)であり対策の有無で非常に大きくなり得ます。
カップリングの場合も同じように、起動・停止・回転振動などの加速度をどれだけ小さく押さえられるかによってカップリングの強度を考えます。ショックアブソーバー的要素がなければそれだけ許容トルクに対し安全率を高める必要があります。
技術情報
ねじりばね定数について
主としてサーボ系に使用するカップリングで大切な特性です。カップリングの片方の軸を固定し、反対側の軸にトルクを加えながら左右ハブ間のねじれ角(度)を推定すると(図a)のようなグラフを描くことができます。許容トルクToの決め方はメーカーによっても形式によっても多少異なります。
ねじりばね定数は To×57.3/C[N・m/rad]で表します。
カタログ記載のねじりばね定数が例えば2000N・m/radで、常用トルクが7N・mとあれば「7×57.3/2000≒0.2(度)」即ち7N・mの常用トルクに対するねじれ角が0.2(度)だと実感できます。
但しこの数値が即サーボの位置誤差となるわけではありません。
偏心について
ディスク型カップリングと偏心の関係
-
設計と製作の上から偏心を0に近く保てると考えている装置の場合は、一般的にシングルディスク(ショートタイプ)カップリングが採用されていますが、現実にはこの点がかなりトラブルの原因となっているようです。組立精度に自信があってもサーボ機械においてはダブルディスク(ロングタイプ)を推奨します。
シングルディスクの偏心ばね定数は、ダブルディスクタイプに比べて10~20倍大きいので、僅か0.05(mm)位の偏心でも大きな偏心ばね荷重が加わり、たとえカップリングが短期間で破損しない場合でも、ベアリングの寿命をかなり短くします。ひどい場合には、軸の破損例もあります。また、トラブルが発生しても、スペースの関係でダブルディスクタイプに交換が不可となります。対応策としては、偏心ばね定数の小さいポリイミドディスクかサーボ対応のオルダムカップリングを選択する必要があります。 - 偏心が小さく抑えられない場合は、ダブルディスク(ロングタイプ)カップリングの選定が必要です。この場合でもカタログ許容値より小さく抑える努力が必要です。許容値一杯の場合には常用トルクを1/2~1/5と下げる必要がでてきます。偏心は寿命に関係すると考えるべきです。この場合の破損状況は金属ディスクの曲げ応力による疲労破断がほとんどです。
- 寿命の心配を失くす為には、疲労現象の無いポリイミドあるいはカーボンFRPのディスクを選択する方法もありますが、許容トルクは小さくなります。
オルダムカップリングと偏心の関係
- オルダムカップリングは、小形で高トルクが特長ですが、偏心のある場合には破損するのではなく「負荷トルク×偏心量×回転速度」の積の大きさに比例して、ハブとスライダーとの摺動面で摩耗の進行が生じます。長寿命の為には、偏心を出来る限り小さくする必要があります。また、摺動面に二硫化モリブデン系グリースの塗布も有効です。
- 現在では、サーボ系のカップリングとして使用される割合が非常に多くなっています。その理由として、小形・高トルクなので装置の小型化が出来ることがあげられるでしょう。偏心0.1以下であればバックラッシュゼロでサーボ特性としても良好です。
偏角について
-
大きな偏角(5°以上)に対しては、市販のユニバーサルジョイントあるいは当社新開発のボールカップリングを使用していただくことをお奨め致します。
偏角5°以下のカップリングとしてはポリイミドディスクダブルタイプ(M・CU・C1)
偏角3°以下のカップリングとしてはカーボンディスクダブルタイプ(M・CU・C1)
偏角2°以下のカップリングとしては金属ディスクタイプも選択対象となります。 -
ディスク型カップリングの場合
(1)ポリイミドディスクが偏角に強いカップリングで実負荷トルクが定格トルクの1/2であれば、最大許容偏角でも10億回転テストでも破損しません。
(2)カーボンディスクも金属疲労のような破損にはならず、定格トルクの1/3で10億回転テストに合格します。
(3)ステンレスディスクの場合は、偏角の大きさに比例してディスクの曲げ応力の繰り返しで金属疲労による破損に至ります。従って、偏心・偏角を小さくする努力が求められます。 -
オルダムカップリングの場合
オルダムカップリングは形状的には偏角に不向きなものとなっています。
オルダムカップリングにおいて、許容偏角が大きいカップリングとは、中間スライダーが弱い(ねじりばね定数が小さい)事を示します。これは、スライダーのガタか変形によって偏角を吸収しているからです。
回転数について
通常のカップリング(低速回転用は除く)では、3000rpm位の回転数を想定して常用トルク(許容トルク)を決めています。従って、実動の最高回転数が2倍の6000rpmでご使用になられる場合は常用トルクは50%以下にしていただくことが無難です(この値は厳密な数値ではありませんが、回転上昇に伴う振動や抵抗エネルギーの増加は一様ではありませんので個別問題となります。なお、定速・連続回転の場合は100%の判断で大丈夫です)
性能表の許容値について
カップリングの性能表に記載されている項目即ち、許容トルク・許容偏心・許容偏角・最高回転数などは各項目ごとに検討し決めています。従って、ミスアライメントが複合される場合は各許容値の値を複合するアライメントの数で割るなどの配慮が必要です。
(それは考え方としておかしいのではないかとのご意見もいただきますが、例えば全てのアライメントが許容値一杯の状態で許容トルクを決めるとするならば、実用性の乏しい小さな値になってしまいます。カップリングはエネルギーを伝える要素部品なので、内部応力の性質と大きさが寿命に関係するものです)
注意
- ねじを締付ける際は、必ずトルクドライバー・トルクレンチを使用し、適正に締付けてください。
- クランプタイプのカップリングを締付ける際は、軸を挿入してから締付けてください。
- カップリングは、ミスアライメントの許容値以下で使用してください。
- 製品の分解・改造はしないでください。(カタログの性能保証が出来なくなります。)
Q&A
軸は奥まで入れて使用しても問題ありませんか?
ハブの厚み以上には、差し込まないでください。回転時に軸とカップリングが干渉して、破損の原因となり得ます。
耐熱温度はどれくらいありますか?
基本的に常温での使用を想定しておりますが、80℃まで耐性があります。(金属製のディスクやスライダを使用した製品は200℃ほど)
プラスチックカップリングはUL規格対応品ですか?
原材料となる樹脂はUL規格を取得しておりますが、製品としては取得しておりません。
オルダムカップリングのカーボンFRP製スライダについて、摩耗粉は出ますか?
ご使用条件によっては出る可能性があります。その場合は定期的にハブとスライダの間にグリースを塗ることで防げます。